薊畑

Thistleのブログ

メタ認知能力を応用した認識改竄の話

はじめに

この記事には、私が受験勉強中、メタ認知能力を悪用することでうまく思考や記憶を行えるようになるのでは?と思い行った実験結果が書かれています。 その性質上、紹介する技術には全て私で試して上手くいったという根拠があり、逆に私一人でしかうまくいっていないという弱点があります。 データに多様性がなく、理論体系が(知っている限りでは)ほぼ存在しないジャンルであるため、この記事を読んでくれた人が何か新しい知見を得た場合、コメントやその他の手段で教えていただけると幸いです。

出発点

皆さんは、何時間も集中して本を読んだ後、自己認識が微妙に揺らいだ経験はありますか?私の場合は、主人公が記憶喪失になっている話を恐らく6時間程度連続で読んだ後、家族と話すとき「私は記憶喪失なのにこの人たちは普通に接するんだな」とか考え始めてかなり驚いた経験があります。この記事の前提となる話なので経験したことがない人もこういう現象が存在しうるということは受け入れてほしいです。
さて、この現象から、人間の現実認識は結構柔軟という可能性が考えられます。となると、自分が別の誰かだと思い込んだり、自分が今いる場所を誤認する程度の事はできるのではないかと思えませんか?結論から言うと、できる可能性はあります。

ここに書いてある内容は自分で読んでもかなりの電波話ですが、別に私が受験のストレスで狂ったとかいうことではないということをご留意ください。

できること/できそうなこと

ここで紹介する技術の応用でできたこと/できそうなことについて最初に書きます。

できたこと

  • 体性感覚の改変:体の角度が変わったように錯覚させる。三半規管がグルグル回る感覚があったので成功したとしてよい(?)
  • 単語などを暗記する:単語帳1周で8割程度覚え、1月弱記憶を持たせる程度の事は可能。
  • 感情の創出:ある感情を持った人だと思い込む。涙2滴流すくらいなら可能。
  • 副産物として、自分の理解が曖昧なところを認識するのが上達する。

出来そうなこと

  • 自分が誰かを誤認する:読んでいる小説の登場人物と思い込むことくらいならできそう
  • 自分がいる場所を誤認する:別の場所にいる自分だと思い込む
  • 精神を落ち着ける:落ち着ける別の空間にいると完全に錯覚できればできそう
  • 数学などの問題の解き方を自分で再現できるようにする:その考え方が自然に出てくるように思考パターンを変えればできる……?

恐らくできないこと

  • 記憶の宮殿の構築(出典:羊たちの沈黙):単純にリソースとスペックが足りないため、この技術の発展ではできない。
  • 記憶を忘れる:何かを忘れるにはそれを覚えていることが必要なため

注意事項

それ相応の悪影響があります。

  • 低血糖?による諸症状:頭痛、腹痛、吐き気、えずき、強烈な疲労感、原因不明の空腹感、etc...
  • 精神的疲労の加速:普通に何かを考えているときでも処理量が微妙に増えるらしく疲れやすくなる。恐らく直らない。
  • 精神状態の悪化:使った後1日後くらいから1,2日間程度精神状態がひどく悪化する。毎日使っている限りは起こらない(?)。
  • 精神構造の変化:これをした直後は感性が死に、いつもなら良さを感じられるものから何も感じられなくなる。少しすると直る。

特に3番目の精神状態の悪化はかなり酷く、気力の減退とものを考えるときの強い抵抗感が1日中続くので、そういう状態に耐性がない or 今の時点で既に精神状態が悪いと思う人はやめておいた方がよいと思います。
1番目の諸症状は、パターン2(後述)をし始めた後15分くらいで出始めます。

本編

技術体系は大まかに2つに分けることができます。これからそれぞれについて書きますが、まず最初にどちらにも共通することについて書きます。

使う思考媒体について

人間の思考媒体は言葉だと考えられることが多いですが、私はこれは違うと思っています。自分の思考を観察してみると言葉を介さずに考えていることがあり、恐らく、言葉は人間がものを考えるとき思考を整理する程度の役割しか果たしていないのだろうと思っています。 そうすると、言葉を介さずに思考をしているときは何を用いているのかという疑問がわきます。私は、イメージや印象がその役割を果たしているのだと思います。日本語で近い語彙を探すなら「実感」が妥当でしょうか。
ここでの「実感」がどういうものかは、自分がよく理解していて自然に使える概念と、まだ慣れていない概念とで理解の仕方を比べてみると分かると思います。
この記事中で紹介される技術は、基本的に全てこの「実感」をいかにして作り出すかということに焦点が置かれています。例えば、自分が別人であるという実感はどのようにすれば作り出せるか、ということです。こういった複雑なものはすぐに作れないと思いますが、簡単なものは多少の練習で作れるようになると思います。言葉を介さず思考することに試みると、自分が今何を考えているか再認識するために実感を作り出すことが必要になるため、練習としては適しているでしょう。

落とし穴について

思考の低レベルな辺りを用いるこの技術では目的と手段の入れ替わりが頻繁に発生します。 例えば今後、自分がAさんだと思い込む、というようなことをし始めます。Aさんは自分がAさんであることについて何の思考も必要ないので、これが成功した時は何も考えていないはずなのですが、実感を作り出そうとするあまり「自分はAさんである」という思考ばかりを行ってしまう、というような事態が発生します。下に書くすべての事についてこれは発生しうるので、うまくいかないときは本当に今の思考が適切であり、それを続けて目的に辿り着くことができるのか考えてみると良いでしょう。

以下、本題です。

パターン1:暗記の促進について

「自分がAさんである」ということを思い込めるのであれば、「自分はBを知っている」と思い込むことも可能です。具体的には、見たこともない古文単語について、現代語と同じように、自分がそれを知っていて当たり前であると思い込むことが可能なはずです。
さて、本来ならこの発想をもとに発展させていくのですが、暗記、正確には2つの概念を関連付ける操作にはそのような処理は必要なく、関連させたい2つの概念を同時に頭の中に浮かべる操作をするだけでそのような感覚を得ることができます。

具体的な操作の仕方は、

  • 言葉を介さずに行う思考がどのようなものかを練習し、感覚をある程度つかむ。
  • 単語帳(古文が望ましい?)を持ってきて、単語をいくつか見繕う。
  • 覚える単語の実感を作り出す。字面や音声の印象から作り出すと良い。どうしても作り出せない場合は、その単語を文に入れて発声したり(これが食べられないのはあたらし)、検索したり(あたらし 古語 類語 検索)、言葉遊びしたり(新しいものを使えないのはあたらしだよね とか)、とすると徐々にできてくるかもしれない。
  • 覚える単語の意味の実感を作り出す。最初につかんだ言葉を介さない思考の感覚に合致するようにする。その意味を表す現代語の実感ではないことに注意。
  • 上で作った2つの実感を頭の中で2つ同時に意識する。感覚的な説明をすると、脳内の全域にどちらかの実感を浮かべ、そこにもう1つを重ねるイメージ。最初はかなり大変だが、しばらくすると抵抗感がなくなってきて楽にできるようになる。
  • 楽になってきたら終了。

のようになります。これは私が受験時やその後の大学での勉強においてもっとも重宝している技術です(パターン2が上達しないのが原因ですが……)。最初にこれを用いて単語を覚え、1,2週間後くらいに復習しようと思って単語帳を読んだときに意味が勝手にどんどん思い出されたときはかなり気持ち悪かったです。

理論として、普通は何度も復習して触れることで出来上がる実感を強引に作ったうえで、同時に浮かべるという負荷の高い作業により普通に覚えるときに行うのと同じ分量の思考が確保されたから、というものを考えています。暗記は問題演習などで何度も思い出したり考えたりすることで確実になるものですが、この作業によりそれを短期間で行えているのではないかということです。

この後の話でもそうなのですが、「同時に頭の中に浮かべる」とか「想像する」とかの作業はすんなりとできるものではなく、20分くらい調整し続けて一瞬だけ感覚がつかめるのを何回も繰り返すとできるような作業なので、すぐできないからと言って挫折するものではないです。

ただ、この技術は並列思考ができない人間のみに有用な手段なのかもしれないので、それが得意な人には効果がないかもしれません。また、覚えるのは早いが忘れるときはきれいさっぱり忘れるという注意点があります。普通は、「あんな感じだった気がする……」という風に苦しむと思いますが、この方法で覚えるとそれがなくなります。

パターン2

今までは実感という言葉を、特定の概念のイメージという意味で使っていました。ですが、これはもっと広く、世界を見る見方にまで広げられると思います。別の言い方をすると、目に入ったもの一つ一つについて現在と違う印象を持つようにすることも可能だろうということです。
これに関しては、まだ成功していないこともあり全く体系化されていないので、試した個々の事柄について書きます。

感覚の誤認

基本的に視覚情報を誤魔化せればできます。手順は以下のようになります。

  • できるだけリラックスできる場所に行く。精神状態は少し眠たいくらいがよいかもしれない(未実験)。
  • 自分がイメージしやすい空間をイメージする。できるだけ情報量が少ない空間がよい。私の場合は暗い地底湖だった。
  • 自分がそこにいるとして、どのような光景を見るかを想像する。ここで、その場所の光景を思い浮かべる、というのとは全く違うということに注意。今現在の自分の視界を観察し、視角やピントの合い方をよく覚えたうえで、自分がその場所にいる時にはそれがどうなるかを想像する。
  • 触覚や聴覚などもイメージする。視覚に比べたら重要でないのでそこまで真剣にする必要はない。
  • 仮想的な自分の体勢を強く意識する。ここでは立ち泳ぎしている姿勢だと意識したとする。
  • その状態から、徐々に横たわっていくと想像する。動作中の感覚をすべて完璧に再現する必要はないが、できるだけ再現した方がよい。
  • 終わったら目を開いて現世に戻ってくる。三半規管がぐらぐら揺れている。

視覚の再現は、上に書いたように手段と目的が逆転しやすい作業です。今その景色を見ていると思っている状態が理想。

人物の誤認

これは不完全にしかできていません。現状最もうまくいっている手順は下。

  • 小説を用意します。小説には感情の再現がしやすいものとしづらいものがあるので、うまくいかない場合は色々試してみると良いでしょう。個人的には、紙の本よりもWeb小説の方が再現しやすい気がします。
  • 適当なシーンを選びます。
  • まず、感覚の誤認で行ったような視覚情報の捏造を行います。
  • 次に、その登場人物の基本的な考え方を大まかに読み込みます。
  • 名前や所属、考え方の情報を使って、「自分はAである」というのを思考のベースにできるように頑張ります。完璧にできる必要はないです。
  • その場面を見て、そこで起こったことが自分に起こったと思い込みながら、書かれているセリフを自分で言ったという風に認識します。

セリフを自分が言っている、というふうに誤認すると自己認識を一番効率的に変えることができるようです。セリフでなくても、キャラクターソングであれば歌でも可能な場合があります。

人物誤認の前ステップとして感情の誤認があり、自己認識は変えなくても、考え方を弄って局所的なシーンの出来事が自分に起こったと思い込めばある程度望んだ感情を作ることができます。こちらについては物理的な指標として涙が使えるので、本当に上手くいっているのかの根拠とできるのですが、現時点では一瞬だけしか再現できていません。(余談として、感情の誤認は精神を安定させる手段として便利です。たとえ不完全でも何らかの強いプラスの感情を再現すると数日間くらいポジティブになります。)

人物誤認についても一瞬だけ再現できたような気はするのですが、長時間の再現はできていないのが課題です。恐らく練習時間が足りていないです。

終わりに

これらの技術が使い熟せるようになった場合、最終的な目標点は人為的な二重人格の再現です。数学ができる人格を作り出すとかできるようになるとかなり便利そうだなと思っています。また、小説を読む際にうまく使えればより楽しめるのではないかなと思っています。

初めにも書きましたが、何かこれをするとうまくいった、とかそういうことがあればお気軽にご一報ください。この記事を書いたモチベーションはそのような報告を聞くためなので、どのような些細なことでも教えていただけると嬉しいです。

長々と意味の分からない駄文に付き合っていただきありがとうございました。誤字や意味の分からないところがありましたらコメント、Twitter、メール( thistle.kyopro at gmail.com )などでご連絡ください。

どこかで突然人格の変わった人を見た場合、それは実験の成功を意味するので、めでたいことだと思っていただけると嬉しいです。